首にしこりがある、
腫れているように感じる
例えば、「鏡を見て首を撫でた時にしこりを感じた」という経験をされた方もいらっしゃるかと思います。首のしこりには、特に問題がない場合と、治療が必要な場合があります。
ご自身で見極めるのは難しいため、まずは放置せずに当院へご相談ください。
首のしこりは
このような疾患が
考えられます
リンパ腫の腫れ
(リンパ節腫脹)
急性リンパ節炎
急性リンパ節炎は、ウイルスや細菌による咽頭や扁桃の炎症が拡がることで発症する場合が多い病気です。首のしこりだけでなく、しこりを押すと痛む圧痛、のどの痛み、発熱、鼻水などの症状が伴うこともあります。結核などの特殊な炎症でもリンパ節の腫れが見られます。
悪性リンパ腫
リンパ球が悪性化したもので、腫瘍として全身どこにでも発生する可能性がありますが、頸部リンパ節腫脹は初発症状として自覚されやすい部位です。首痛みを伴わないしこりのほか、発熱、寝汗や体重減少などの症状が現れます。
転移性リンパ節腫大
がん細胞が原発巣からリンパ管を通じて運ばれ、首のリンパ節に転移したものです。しこりは少しずつ大きくなり、数も増えていきます。初期段階では痛みは起こりませんが、しこりが大きくなると痛みを感じることがあります。
部位によって原発巣はある程度推測できます。多くは頭頸部領域由来ですが、左鎖骨上窩のリンパ節転移はウィルヒョウ転移と呼ばれ、主に腹腔内に発生した悪性腫瘍の転移部位として知られています。
菊池病
(組織球性壊死性リンパ節炎・
亜急性壊死性リンパ節炎)
首のリンパ節が腫れる良性のリンパ節炎で、「組織球性壊死性リンパ節炎」や「亜急性壊死性リンパ節炎」としても知られています。特に日本人を含む東洋人に多く見られ、20代~30代の若い女性に多く発生します。
発熱と有痛性の頸部リンパ節腫脹が特徴的で、亜急性の名前の通り、1〜3ヶ月程度の経過を示すことが多いです。一方で、悪性リンパ腫との鑑別が問題となり、教科書的には頸部リンパ節生検が確定診断には必須とされます。
サルコイドーシス
全身の臓器に炎症を起こす疾患で、発症する原因は未だに解明されていません。リンパ節の腫れが特徴で、主な症状としては、肺や皮膚の異常、倦怠感などの症状が挙げられます。肺門部リンパ節腫脹が有名ですが、頸部リンパ節腫脹のみのタイプは稀です。
両側性顔面神経麻痺の原因疾患として知られています。
唾液腺の腫れ
唾液腺炎
唾液腺が細菌やウイルスに感染して、炎症が生じる状態です。症状としては、唾液腺の腫れや痛み、発熱が挙げられます。細菌、ウイルス感染以外にも食事に連動して繰り返し唾液腺が腫脹したり、線維状の排出物があったり、全身性の自己免疫性疾患に関連していたりと、さまざまな原因があります。
唾石症
唾液腺内に石(唾石)ができ、唾液の流れが妨げられる状態です。食事をした時の痛み(唾疝痛)が特徴的です。顎下線に起こりやすく、唾石の部位によって顎下線自体を摘出するか、口腔内から摘出するかが決まりますので、治療方針決定にはCT検査が必要です。
シェーグレン症候群
自己免疫疾患の一種です。唾液腺や涙腺に慢性的な炎症が生じ、唾液と涙の分泌が減少します。症状としては、口の乾き、目の乾燥、唾液腺の腫れが挙げられます。確定診断には血液検査のほかに、唾液の分泌量の検査、小唾液腺の採取、組織診断が必要です。
唾液腺腫瘍
唾液腺に腫瘍ができることがあります。ほとんどは良性ですが、稀に悪性のものができる場合もあります。発症すると、痛みが伴わない腫れが現れますが、悪性の場合は顔面神経麻痺も伴うことがあります。
甲状腺の腫れ
橋本病やバセドウ病を含む慢性甲状腺炎では、びまん性腫大といって、甲状腺が全体に腫脹します。部分的に結節や腫瘍がしこりが甲状腺に現れることがあり、多くは良性ですが、良性でもサイズが大きいものや、悪性の場合には手術などの治療でないと治癒できません。
頸部嚢胞
先天性の異常によって、袋状の異常構造物「嚢胞」ができることがあります。
頸部正中にできる正中頸嚢胞、側頸部にできる側頸嚢胞のほか、唾液腺管の閉塞で起こるがま腫やリンパ管腫や血管腫も頚部の腫脹として現れることがあります。
リンパ節は体のどのあたり?
私達の体内には、血液と同様にリンパ液が全身を巡っています。リンパ液が通る管を「リンパ管」と呼び、その途中にある免疫器官が「リンパ節」です。
リンパ節にはリンパ球が集まっており、ウイルスや細菌に対する免疫反応が活発に行われます。特に頭頸部では頸部に多くのリンパ節があり、鼻腔や口腔、扁桃、咽頭などの感染症に対処しています。
唾液腺は体のどのあたり?
唾液を生成する組織には、大唾液腺と小唾液腺があります。大唾液腺は口の周りに存在しており、多くの唾液を分泌している組織です。耳下腺、顎下腺、舌下腺の3種類に分類されます。一方、小唾液腺は口内に存在している組織です。
耳下腺から生成された唾液は、上の奥歯付近の頬から口の中へ流れ、顎下腺と舌下腺から生成された唾液は舌の裏へ流れ込みます。
首のしこりや
リンパ節の腫れの検査方法
首のリンパ節の腫れに対して
はれがのどやそのほかの部位からきているのか、リンパ節自体の病変なのか、炎症性なのか、腫瘍性なのか、を念頭に検査をすすめます。単発なのか、多発なのか、疼痛があるのかないのか、発熱や炎症症状を伴うかどうか、可動性があるかどうか等、問診・視診・触診である程度のスクリーニングを行いつつ、内視鏡検査による咽喉頭の観察、原因検索が必須です。
リンパ節自体の正常の評価には、超音波検査が有用です。疑わしい病変があり、必要性があれば組織採取、超音波観察下の穿刺細胞診が診断の助けになります。血液、生化学検査やウイルス検査が確定診断に必要なこともあります。
唾液腺の腫れや痛み
急性炎症であれば、炎症の原因検索を第一に考えます。唾石が原因のこともありますし、腫瘍性病変に炎症を伴っている場合もあります。超音波検査は侵襲が少なく、診断に有用です。採血で炎症反応の確認をすることも重要で、唾液腺に含まれる酵素が上昇することも特徴的です。
唾石症の疑い
唾石症が疑われる場合には、症状からある程度のあたりをつけます。唾石自体は石ですので、超音波で観察すると石の周りに音響陰影が検出されたり、CTでも石を同定することができます。
唾液腺腫瘍の疑い
唾液腺の腫瘍が疑われる場合も、問診・視診・触診である程度のスクリーニングの上で、炎症性なのか、腫瘍性なのか、の鑑別が診断の中心になります。唾液腺腫脹かと思いきや、リンパ節の病変ということもあるので、咽喉頭の内視鏡検査は必要により行います。腫脹自体の精査には超音波検査が有用で、唾液腺腫瘍や全身性の自己免疫疾患(IgG4関連疾患)では、特徴的な超音波像を示すことがあります。エコー下の穿刺細胞診、血液検査も診断の一助になります。
首の腫れやしこりは治る?
改善・治療方法
原因となる疾患に合った治療を行います。急性リンパ節炎の場合、十分な栄養補給と薬物療法が必要です。抗生物質やステロイド治療が適応になることもあります。進行して膿瘍化した場合には切開して膿を排出することがあります。
悪性リンパ腫の治療では、主に化学療法が用いられますが、組織診断がすべてなので、疑った段階で高次医療機関での対応が必要です。唾液腺腫瘍は原則手術、甲状腺腫瘍は悪性であれば基本的には手術、良性でも大きいものは手術が必要です。病変のサイズや部位によって部分切除や全摘出手術が選択されます。
首のしこりや腫れ、
リンパの腫れのQ&A
首にしこりがあり、押すと痛みがあります。病気の可能性はありますか?
急性リンパ節炎などの病気が疑われることがあります。血液検査やエコー検査で診断が可能な場合が多いので、放置せずに当院へご相談ください。
首の腫れとのどの痛みがあります。他院で炎症を抑える薬を処方されて服用しているのですが、
なかなか良くならないので不安です。
咽喉頭を含め、詳しい検査が必要です。当院では様々な頭頸部領域の診断治療に対応していますので、お気軽にご相談ください。
しこりを見つけたのですが、知らないうちに消えてなくなっていました。どうすればいいでしょうか?
「しこりがあったけど、いつのまにか消えてしまった」という場合は実際にあります。診察してみないとなんとも言えないですが、超音波で確認してみるのがまずは侵襲がなくて良いと思います。気になるようでしたら一度ご相談ください。
首のしこりが大きくなり、数も増えてきました。押すと痛みが起こるのですが、どうすればいいでしょうか?
速やかに医療機関を受診してください。様子をみていてもよくならない、ということでしょうから、原因を突き止めて適切な治療を行うことが重要です。当院であれば内視鏡検査による原因検索と、頸部超音波検査、必要により高次医療機関への紹介ができます。