のどがつまるように感じる
のどの違和感は、のどの使い過ぎや空気の乾燥などが原因で誰にでも起こることがあります。のどの「イガイガ感」や「ヒリヒリ感」が気になったという経験をした方は多くいらっしゃるかと思います。
また、のどの奥に「何かが詰まった感じ」や「のどに何かがひっかかっているような感覚」が続く場合もあります。このように、「なんだかすっきりしないのどの違和感」に悩んで耳鼻咽喉科を受診する方は多いです。
経験的にはとくにこれという原因がはっきりしないことが圧倒的に多いのですが、症状が長引いたり、何度も繰り返したりしている場合は、何らかの病気が隠れているかもしれません。稀に咽頭がんなどの悪性腫瘍が見つかる方もおられますので、気にして悩んでいるよりは早めに医療機関を受診して診察と検査を受けることをおすすめします。
のどの違和感が起こる
原因と病気について
のどの違和感は3種類あり、
以下のように分類されます。
のどの炎症によるもの
鼻やのどの炎症によって、のどにイガイガ感、ヒリヒリ感、飲み込んだ時の痛みなどが起こることがあります。
咽頭炎
のどの後ろ側にあり、鼻から食道に続く「咽頭」に炎症が生じる状態です。発症すると、のどの腫れや痛み、違和感などが現れます。咽頭は鼻や口を通して外界と直接接しているため、ウイルスや細菌に感染しやすいです。特に、急性の咽頭炎は発熱を伴うこともあります。症状が長く続いて炎症が慢性化すると、常にのどの違和感が残るようになります。
喉頭炎、喉頭アレルギー
のど仏の辺りに位置する、喉頭に炎症が発生する状態です。発症すると、咳や発熱に加えて、声枯れやのどの違和感などが現れます。ウイルスや細菌の感染によって発症することが多いですが、喫煙やアレルギーが原因となる場合もあります。喉頭は空気が通る道でもあるため、特殊なタイプでは呼吸が困難になることもあります。
扁桃炎
扁桃(のどの奥にあるリンパ組織)に炎症が生じる状態です。ウイルスや細菌が主な原因とされており、左右の扁桃が赤く腫れて痛みが生じます。また、扁桃の周囲に白い膿が付着することもあります。慢性的に炎症を起こしている部位でもあり、サイズが大きい扁桃肥大も咽頭違和感の原因になり得ます。
気管支炎
ウイルスや細菌感染により、気管や気管支に炎症が発生する病気です。発症すると咳や痰、発熱、倦怠感、胸の痛み、のどの違和感などの症状が現れます。炎症が完全に治らず慢性化すると、咳が残ることがあります。
副鼻腔炎
鼻の周りにある空洞「副鼻腔」に炎症が起こる病気です。発症すると、鼻詰まりや粘り気のある黄色い鼻水、頭痛、顔面の痛み、咳、のどの違和感などが現れます。アレルギーや歯の炎症が引き金になることもありますが、1番多く見られる原因は風邪です。炎症が治らずにいると、慢性化する可能性もあります。
アレルギー性鼻炎
アレルギー反応が過剰に起こり、鼻腔内の炎症が続く病気です。アレルギー反応は、鼻の中に入った異物を追い出すためにあります。花粉やハウスダストなどのアレルゲンが鼻の中に侵入した結果、アレルギー性鼻炎を起こします。主な症状としては、鼻水や鼻詰まり、くしゃみ、耳の奥のかゆみ、のどの痛みやイガイガ感などが挙げられます。
腫瘍によるもの
ポリープや悪性腫瘍といったできものがのどに発生することで、声枯れ、異物感、声が出にくいなどの症状が発生します。
声帯ポリープ
風邪やのどの使いすぎなどが原因で、喉頭にある声帯に小さなポリープが生じる病気です。声帯がスムーズに閉じられなくなり、振動が妨げられるため、声が枯れたり声を出しにくくなったりします。初期症状としては、声のかすれが主ですが、のどの詰まり感やイガイガ感といった違和感を訴える方もおられます。
咽頭がん
過度な喫煙・飲酒によって咽頭に発生する悪性腫瘍(がん)です。発生した部位に応じて「上咽頭がん」「中咽頭がん」「下咽頭がん」と分類されます。近年、飲酒喫煙によらないウイルス性の中咽頭がんが増加傾向にあります。3種類とも特徴的な症状は異なりますが、発症したばかりの段階では、軽いのどの痛みが起こったり、飲み込んだ際に異物感が起こったりすることがあります。
喉頭がん
喉頭に発生する悪性腫瘍(がん)で、発生した部位に応じて「声門がん」「声門上部がん」「声門下部がん」と分類されます。代表的な原因は喫煙で、男性の方が発症率が高いです。声門がんでは、早期に声枯れなどの症状が現れますが、声門上部がんや声門下部がんですと、目立った症状があまり現れません。現れたとしても、なんとなくのどに違和感があるかな、程度のことが多く、発見に遅れが生じます。
その他、頸部腫瘤
甲状腺腫瘤や頸部リンパ節腫脹が違和感の原因になることがあります。とくに甲状腺腫瘍は、体表方向に増大したものでなければ視診触診でわかりづらいこともしばしばです。
消化器病、メンタル
不調によるもの
耳鼻咽喉科では扱われない病気によって、のどの詰まり感やひっかかるような感覚などの症状が現れることがあります。
胃食道逆流症
胃酸や胃内にあった内容物が食道へ逆流してしまう病気です。胸焼けや吞酸(酸っぱいものが込み上がってくる状態)などの消化器症状をはじめ、咳や声枯れ、のどの詰まり感、ヒリヒリ感といった違和感が現れます。
喉頭の所見では、披裂間部の発赤や喉頭肉芽腫を合併することがあります。はっきりした異常を示さないのどの違和感の原因の30-40%程度に関与するという説もあります。胃酸を抑制する胃薬の処方にも対応しますが、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)で逆流の程度が診断できますので、消化器内科へご紹介します。
咽喉頭異常感症
特定の異常がなくても、のどに引っかかり感や何かが詰まったような感覚が続くことがあります。この状態は、「ヒステリー球」とも言われており、詳しい原因やメカニズムは未だに解明されていません。しかし、ストレスや悩みなどの精神的要因が関与しているのではないかとされています。不安感や抑うつなどを伴うこともあります。
漢方薬の処方が一般的にはよく行われますが、特効薬はないように思います。当院では、咽喉頭を含め、頭頸部領域に明らかな異常がないことの確認を第一にします。とくに心配がいらないことがわかることで症状がとれてしまう患者さんも多くおられます。さらに追加なら胃カメラでしょうか。それでも症状がとれず、経過観察以上の対応が必要な場合には、心療内科や精神科へのご紹介を行うこともあります。
のどの違和感を確認する
検査・診断方法
症状を良くするには、のどの違和感の原因を正確に見つけ出すことが重要です。当院では、診察時に自覚症状、発症した時期、既往歴などを丁寧にお聞きし、下記の中から必要な検査を実施します。
視診と触診
口を開けていただき、のどの状態を確認します。また、触診では、首周辺の腫れや異常の有無を調べます。患部の腫れや赤みの状態を踏まえて、診断をつけることがあります。
内視鏡検査
内視鏡を挿入して、のどの奥(喉頭から食道付近)の状態を調べる方法です。局所麻酔を用いるため、検査時の痛みは最小限まで抑えられます。
当院での検査法に準じて行いますので、
内視鏡検査のページも参照ください。
先端に付いているカメラで、炎症や腫瘍などの僅かな病変を見つけ出します。検査後にはすぐに、保存された画像を患者さんご自身で見ることも可能です。当院の内視鏡システムは、画像強調システムを搭載しており、より精度の高い検査を実現させます。
治療について
のどの違和感の原因は多岐にわたるため、
原因となる病気に合った治療を行うことが重要になります。
薬物療法
違和感の原因となる病気を改善するため、次のような薬を処方します。
咽頭炎、喉頭炎、扁桃炎
咽頭炎、喉頭炎、扁桃炎には消炎薬や咳止め薬を用い、細菌感染の疑いがある場合には抗生物質も使用します。喫煙されている方は禁煙しましょう。
気管支炎
気管支炎には気管支を広げる気管支拡張剤や去痰剤などを使用し、同様に細菌感染の疑いがある場合には抗生物質も使用します。喫煙されている方は禁煙しましょう。
アレルギー性鼻炎・
喉頭アレルギー・副鼻腔炎
アレルギー性鼻炎や喉頭アレルギーには抗アレルギー薬やステロイド点鼻薬を、副鼻腔炎には痰を取る去痰薬やマクロライド系抗生物質を用いたマクロライド療法(少量の薬を3~6か月程度使用)を行います。喫煙されている方は禁煙しましょう。
声帯ポリープ、胃食道逆流、
咽喉頭異常感症
声帯ポリープには消炎薬、吸入ステロイド剤などを使用します。
さらに、当院では、通院時でのネブライザー治療(霧状にした薬を送り込み、直接のどの炎症を改善させる方法)に対応しています。ネブライザーと内服薬を併用することで、より効率的に症状を改善させます。
胃食道逆流、咽喉頭異常感症
胃食道逆流症には胃酸分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬などを処方します。生活改善も重要で、夜食を控える、食べてすぐ寝ない、などの対策ができると良いです。
咽喉頭異常感症には漢方薬(半夏厚朴湯など)やストレスによる不安が強い場合には抗不安薬が使用されることが多いですが、咽喉頭異常感症に対して投薬治療が必須とは考えておりません。
外科手術
がんであればしかるべく精査を行い、治療を検討するべきです。速やかに提携施設と連携いたします。
保存的治療が奏功せず、手術によって改善が見込めるもの、例えば声帯ポリープや副鼻腔炎に対しては、手術をお勧めします。扁桃肥大だけで手術適応になることは通常ではありません。
よくあるご質問
鼻水、鼻詰まり、のどの違和感がなかなか治りません。この場合、受診した方がいいでしょうか?
鼻の病気によってのどに違和感が生じることは多々あります。
アレルギー性鼻炎では、さらさらした鼻水が特徴的ですが、鼻水がのどに流れ込む「後鼻漏(こうびろう)」だけでなく、のどのアレルギー症状を併発することもあります。
勉強や仕事などにも集中しにくくなり、日常生活にも支障をきたしてしまいます。お悩みの際は、耳鼻咽喉科を受診して診断治療を受けるのが望ましいです。
最近、ストレスを感じることが多く、のどの詰まり感にも悩まされています。
これって咽喉頭異常感症(ヒステリー球)でしょうか?
咽喉頭異常感症は、特定の病気を発症していないのにもかかわらず、のどに何かが詰まったような違和感が長く続く状態です。睡眠不足やストレス、過労などで自律神経のバランスが乱れることで発症する場合が多いです。
しかし、咽喉頭異常感症の診断は除外診断といって、他の病気が見当たらない時になされるものです。のどの違和感を引き起こす病気は他にも多く存在します。まずは炎症や腫瘍などといった他の原因がないかを調べるために、診察と検査を受けみてください。当院であれば、視診、触診に加えて、内視鏡検査、超音波検査を総合して診察いたします。
胃食道逆流症を発症した時、咳や声枯れが生じるのは何故ですか?
胃食道逆流症により、胃から食道内部に酸性度の高い胃酸が上がり、これがのどまで上がって直接のどの粘膜を傷つけるという説と、逆流した胃酸が食道粘膜を刺激し、迷走神経を介した反射によりさまざまな症状を引き起こす、という説が考えられています。
胃酸の逆流によるのどの違和感を耳鼻科的には咽喉頭酸逆流症といい、実は中耳炎の発症にも関与しているなど、興味深い報告があります。